2014

the whole world is peaceful.

そして老兵の姿は、桃の木の姿に似ています。

 そのまえに、私が戦争中にその目撃者からきいた国民党政権下の中共軍パルチザン部隊の老兵士の話を思いだしてみます。
 彼はそのとき、すでに十年もパルチザン戦に参加してきたそうで、痩せた身体の強じんで柔軟なことはムチのようで、風雨にさらされた頬にはコケのようなものが生え、一頭の馬にまたがり、戦闘と生活に必要なものは全部馬につけており、その姿はまるで安心しきった乞食の引っこしのようで、さらに、つねに少量の酒をたやさず、そして馬のくらつぼのところには古いコキュウを一ちょうさげている。どんなところでどんな敵にあってもよく戦い、つねに機嫌がよく、どこででも眠り、戦闘が暇になると銃把から手をはなしてコキュウをひいて歌ってたのしむそうです。
 それゆえ、彼は自分のしているパルチザンの抵抗戦に、とくに一時的に興奮したり興味を感じたりはしないが、いつでも、そしていつまでもそれに飽きないらしく見うけられたそうです。彼にとって戦いは、すでに戦いではなくて生活それ自体だからでしょう。抵抗はすでに抵抗ではなくて自分が生きているということ自体だからでしょう

そして老兵の姿は、桃の木の姿に似ています。

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